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zoom RSS 『酒の科学』  アダム・ロジャース 著

<<   作成日時 : 2016/10/10 10:34   >>

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私たちは一生のうちに大小様々な節目となる出来事に遭遇する。そうした場に欠かせないのがお酒だ。祝福の時や記念の日、晴れの場でお酒を飲み、悲しみの席、別離や禍根に見舞われた時にお酒をあおる。酒で人生を棒に振ることもあれば、酒が取り持つ縁で一生涯の人間関係を得ることもある。



人の一生にお酒がつきものだから、人類の歴史もお酒と伴にある。酒は科学を進歩させ、文明を育て、時として芸術を開花させた。だが酒を巡っては、まだまだわからないことがたくさんある。本書は酒にまつわる様々な事柄に科学的なアプローチで迫ると同時に、疑問の数々を明らかにする。歴史的な経緯を紹介し、将来に向かった展望を記す。著者は雑誌・ワイアードの編集者であり、本書は2014年にアマゾン、ワイアード誌、ガーディアン紙でベストサイエンスブックに選ばれている。


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酒の科学  酵母の進化から二日酔いまで




著者は本書で単に科学的な研究成果を紹介している訳ではない。現存する関係者に自ら足を運んで会いに行き、彼らとの会話をドキュメンタリー風に描きながら物語が進んでゆく。読者はさながらシャーロック・ホームズに付き合うワトソンのように、著者の傍にいながらストーリーを共有する。



登場するのは過去と現在の科学者や研究者に加え、酒造りの職人、酒造メーカーの技術者、小規模な造り酒屋の関係者、酒の販売業者といった面々だ。麹を使って新しい酒づくりの手法を開発しようとした日本人、高峰譲吉の話も収録されている。



著者によれば人類と酒との関係において、過去に2つの大きな奇蹟が起こった。最初の奇蹟は人類が誕生するはるか以前から存在していた 発酵 という化学反応だ。人間はこの自然の営みの仕組みを理解しないまま、発酵を利用し酒造りを始める。人間は酒造りに適したように酵母を家畜化すると同時に、酵母によって家畜化されてしまった面もある。



その次の奇蹟は人間ならではのテクノロジーによる 蒸留 だ。ここで必要になる技術は、火力の制御、金属の加工、加熱と冷却、加圧容器の製作などだ。「蒸留」 により分離不能と思われていた物質を分離し、風味や香味を移すことができ、数多くの種類の酒が誕生した。そして 「蒸留」 は化学という研究分野を生み出すことになる。



本書の構成はこの 「発酵」 と 「蒸留」 という酒造りに欠かせない2つの仕組みに加え、酵母、糖、熟成、香味という酒造りのプロセスが各章ごとに取り上げられる。そして酒が消費され人間の体内に取り込まれた後についても触れられる。酒が人間の脳にどのようなプロセスで作用し、影響を与えるのか、酔いや二日酔いの仕組みも紹介されている。



各章ごとにこれまでの研究成果の歴史を振り返りながら、将来に向けて新しい種類の酒を造る試みや、新しい酒造りの手法に挑戦する事例の数々が紹介される。中には酒造メーカーのビジネスを一変させる可能性を秘めた技術もある。



長年の歴史という時間の積み重ねと、多くの人々の意欲や情熱が注ぎ込まれたことによって、私たちは今夜もお酒を楽しむことができる。酔っぱらって前後不覚になるまでは、お酒との向き合い方を変えてくれることになる一冊だ。




「酒の科学」 酵母の進化から二日酔いまで
アダム・ロジャース著 白揚社・刊 税別2600円






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