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これだけ騒がれているのにオレオレ詐欺に引っかかる人 がいます、怪しい利殖話に乗ってしまう人もいます。一体 なぜなのか、そこには何か人が騙される法則があるので はないか ・・・ 同じ事を考えたのが、本書の著者、ロバート・チャルディ ーニ。アリゾナ州立大学の社会心理学者である彼も頻繁 に騙されてきました 読みたくもない雑誌を定期購読させられ、行きたくもない 清掃局員の舞踏会チケットを買わされてしまう、そんなカ モにされてしまう自分に嫌気がさして、他人にイエスと答 えさせる要因は何か、それらの要因を使って承諾を引き 出すテクニックとはいかなるものか、頼みごとが成功した り失敗するのはなぜか、というテーマに取り組んだという 訳です 著者は3年間にわたって百貨辞典や掃除機などのセール スマン、募金勧誘者、広告主などの承諾誘導のプロ組織 の世界にスパイのように潜り込み、彼らの方法を学びます。 そして、承諾誘導のプロたちが相手からイエスを引き出す には6つの原理があることを突き止めるのです 私たちは判断を行う際に、多くの知識や情報を必要としま す。しかし、日々多くの決断を行う際に、その都度情報を 集め、知識を総動員することはいささか効率が悪い そこで、簡便法という方法で判断を下し、時間、能力、エネ ルギーを節約します。それは、あたかも録音されたテープ に「カチッ」 とスイッチが入り、「サー」 と音声が再生される ようなものです。この「カチッ」 というスイッチを巧みに押さ せるのが承諾誘導のプロたちなのです そのスイッチが押されると @返報性 Aコミットメントと一 貫性 B社会的証明 C好意 D権威 E希少性の6つ 原理に従って自動的にテープが再生されてしまいます。 これらの原理が3年間のスパイ生活で見聞きした多くの 実例とともに紹介されていきます 学者の研究書というと堅苦しそうですが、本書は人が思わ ずイエスと言ってしまう多くの事例、エピソードが満載で、 気軽に読み進めることができます 相手から何か施しを受けると、相手にもお返しをしなければ ならないようになる「返報性」、残り少ないものには貴重さを 感じる「希少性」などは、よく知られています。そんな単純な 法則にいまさら騙されるのか、と首をかしげる向きもあるか もしれません しかし、昨今のプロはこうした6つの原理がより効果的に作 用する条件、環境作りに長けています。これらを意図的に 張り巡らせることで6つの原理を覆い隠してしまうのです そしてこの張り巡らされた状況に置かれると、私たちはあた かも漏斗に吸い込まれる水のごとく、彼らの術中にはまって しまいます。悪意に満ちた者がこうした条件、環境を整備す れば、それは詐欺師の行いであり、善意の者が行えば、科 学的マーケティングとなります。常に善と悪は隣り合わせに あるようです 「影響力の武器」 ロバート・チャルディーニ・著 誠信書房・刊 税別2800円 |
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