2010年04月30日 「フェルマーの最終定理」 サイモン・シン 著 謎に挑戦したくなるのは人間の性なのかもしれない。謎が大きければ大きいほど刺激を受けると同時に過酷な試練が待っている。時には人生を棒に振ることもある。1637年にフェルマーが発見した一つの法則もそうした謎の一つだろう 本書はそのフェルマーの法則が証明され定理となる過程を通じ、数多くの数学者たちの数奇な運命を描き、併せて数理論理学の歴史を辿る物語だ。数学的な知識がなくても楽しめる上質なエンターテイメントに仕上がっている フェルマーは1601年、フランス南西部のボーモン・ド・ロマーニュという町で生まれた。地方の役人から出世をし、社交界の名士へ。そして政治の世界に身を置く。しかし、政界の抗争からは巧みに距離を置き、数学に没頭し微積分法や確率理論を発見する。フェルマーは古代ギリシアの数学者ディオファントスが著した本・『算術』 の余白にさまざまな発見や法則を書き記した Pierre de Fermat フェルマーの死後、彼が書き記した48の所見は数学者たちによってその正しさが証明されていく。しかし、最後まで証明できない式が一つだけ残った。これが フェルマーの最終定理 とよばれ、数学者たちを虜にすると同時にその人生を台無しにしてきた フェルマーの最終定理の式は極めてシンプルなものだ。それは xn+yn=zn という方程式は n が2より大きい場合は整数解を持たない、という。n が2ならば、32+42=52 (9+16=25) として式を満たす x y z が存在する。しかし、これが2を超えるとこの式を満たすような x y z は存在しないという フェルマーは本の余白にこう記している。「私はこの命題の真に驚くべき証明をもっているが、余白が狭すぎるのでここに記すことはできない」 この証明に数多くの数学者たちが挑戦する。オイラー、ジェルマン、コーシー、ラメ、クンマー ・・・、そして彼らはことごとく失敗するのだが、その過程で貴重な発見も相次ぐ。そして、直接フェルマーの定理とは関係のない分野における数学の発展も数多くあった これらの発見の集積を活かしてアンドリュー・ワイルズがフェルマーの証明に挑戦する。ワイルズが使った武器は2人の日本人、谷山豊と志村五郎の予想だった。すでに谷山・志村予想が正しいことが証明できれば、フェルマーの定理は証明されることが明らかにされていた Andrew John Wiles 足掛け7年に渡りたった一人で証明作業に没頭したワイルズはついに証明を完成させ、論文を公表する。色めき立つ世界中の数学者たち。しかし、最後の最後でフェルマーの壁はとてつもなく高かった。ワイルズもまた敗北するのか、そして結末は・・・、最後は自らの手で明らかにしてはいかがでしょう
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