最低賃金の引き上げは劇薬


アメリカではバイデン大統領が最低賃金の引上げに向けて動き始めています。アメリカの最低賃金は国と州の定める2つがあり、どちらか高い方が適用されます。仮に法案が成立すれば国の最低賃金は現在の約2倍の時給15ドルに引き上げられます。

最低賃金の引き上げが経済にどのような影響を与えるかは、はっきりわかっていません。最低賃金が上がれば、差し当たり労働者にはプラスです。経済にとっても、現在のように景気が低迷している時には、労働者の給料が増え、消費が活発になるというメリットがあります。

一方、企業経営にとっては打撃です。コストアップより経営破綻や市場からの撤退が相次ぎます。人件費がアップするため、閉店や拠点の統廃合などによりポストは減り、人員削減・リストラも進められます。最低賃金が上がることで失業する人も出てきます。また採用の人選は厳しくなり、採用人数も抑制されます。最低賃金の上昇は雇用の減少をもたらすため、全ての労働者にとってプラスに作用するとは限りません。


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長期的に見ると、最低賃金が上がることで生産性の低い会社は淘汰され、不健全な価格競争が減り、生き残った会社の利益は向上します。その結果、そこで働く社員の給料も上がります。最低賃金が上がり失業した人は再教育や職業訓練を受け、生産性の高い人材に変身し、生き残って利益が上がっている会社に再就職し、以前よりも高い待遇を得る途が開けます。

最低賃金の引上げはともすれば地味な政策のようですが、会社と労働者の双方に改革を迫り、生き残りという新陳代謝を促し、社会の姿を変貌させる劇薬とも言えます。

日本でも最低賃金は徐々に引き上げられており、コロナ禍と相まって労使双方の改革は待ったなしの段階を迎えつつあると言えるでしょう。


賃金・賞与制度の教科書 - 高原暢恭
賃金・賞与制度の教科書 - 高原暢恭



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