パッとしない会社に共通しているところ


日経ビジネスの連載企画、「敗軍の将、兵を語る」。2019年5月20日 No.1991は、「多重不祥事で覚悟の出直し」という表題で、日住サービス大西俊二社長が登場しています。


不祥事の経緯

2018年、リフォーム工事で出た産業廃棄物を違法な方法で処分していたとして、法人と社員5名が廃棄物処理法違反で書類送検される。この問題の責任を取り、当時の社長と専務が引責辞任。

創業家の依頼を受け、住友不動産販売の役員であり、日住サービスの顧問であった大西俊二氏が新しい代表取締役に就任。その後、今度は取締役経理部長による3200万円の使い込みが発覚。上場企業としてのガバナンス(企業統治)と内部統制の不備が問われる事態になる。


新社長が驚愕した実態

大西氏が日住サービスの顧問という立場から、経営する立場に変わり、一番驚いたのが、役員も社員も仕事に対する姿勢が受け身だったことです。研修制度なども未整備で、「プロの職業人とはどうあるべきか」を教わる場すらありませんでした。住友不動産販売では人材育成に力を入れていただけに、愕然としたと語っています。

これを読んで、思い出した話があります。ある小規模な会社が某大手企業に勤めていた女性社員を事務職で採用しました。会社の規模からすれば不釣り合いな人材でしたが、この女性は次の就職先が決まっていて、入社までの間であれば働けますという条件つきでした。

経営者はこの女性を採用したのですが、まもなくその優秀さに驚きます。これまで採用した人の大半はいくら教えても、言われたことが満足にできませんでした。

ところがこの女性社員は指示されたことは正確に素早くこなすだけでなく、一つの仕事が終わった後に、あそこはこうした方がいいのではないかとか、こうした方がもっと効率が良いのでないか、後の人のためにマニュアルを作りましょうかと言ってきます。今までそんな社員は誰一人としていませんでした。

この女性はきっと元いた会社で次のように教えられていたのでしょう

  • 仕事は言われたことだけやっていてはダメ

  • 言われたことしかしないなら、あなたでなくてもよい

  • あなたがここにることにどんな意味があるのか考えなさい

  • 得られたノウハウは皆で共有するようにしなければならない



仕事をする上での基本的な姿勢や態度、行動を教えるのが社員教育であり、人材育成です。大西社長は、「人材育成が企業にとって最も大切で、成長には欠かせないという観点が(これまでの日住サービスの経営陣には)なかった」と語ります。

通常、大手企業は相場よりも少し高い給料を払って人を採用し、生産性の高い人材に育て上げ、利益を得ようとします。仮に社員の生産性が世間相場より3割アップしても、給料は1割~2割増しで済みます。この生産性と給料の伸びの差が毎年、確実に利益を生みます。大手企業は人材という投資に対するリターンが抜群であることを知っているため、人材育成に心血を注ぐのです。


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システムや制度の注意点

また大西社長は、次の点も指摘しています。
人事制度や危機管理体制、ガバナンス面での仕組みも25~26年以上何も変わっておらず、「システムから制度からすべてが形骸化、無効化され、存在しないも同然だった」

システムや制度は作るだけでなく、メンテンナンスをしながら改善を図り、従業員に教育して定着・浸透を図ることが必要です。それを怠るとシステムや制度は現場から浮いた存在になり、やがてルールや決まり事よりも、声の大きい人間の意見がまかり通るようになります。経営陣が決定したことが、実行されない会社組織になり、トップの方針に「共振」「共鳴」しない会社になります。

また中小企業では仕事をシステムやルールによって「見える化」(可視化)せず、個人が抱え込んでしまうことがよくあります。その結果、Aさんでないとできない、Bさんがいないとわからない、といったように仕事が属人化します。個人が仕事で得たノウハウが暗黙知の状態に留まり、形式知にまで昇華しません。これでは付加価値を高めるための知見が横展開で広がらず、会社や部署全体の生産性が高まりません。

上司や管理職は仕事が可視化されていないため、仕事をマネジメントすることができず、その結果、人をマネジメントしがちです。人を管理すれば、管理される側からは不平・不満や反発が起こりやすくなります。すると一部の上司や管理職は人間関係が悪化することを恐れ管理をしなくなり、最後には人任せ、他人任せ、会社任せの体質に陥ります。


組織を変えるにはトップの覚悟が必要

大西社長は、「本来あるべき姿に組織、人事を戻して、権限と役割が明確な組織をつくり上げようと思っています」と語ります。

会社の体質、組織風土という川の水が変わると、そこに住む社員という魚も変わります。新しい水に馴染めず、退職する人も増えます。大手企業は知名度やブランド力があるので、採用は中小企業ほど苦労しません。

しかし中小企業では退職者が相次ぐと人員を思うように確保できず、業務に支障が生じる事態に陥る恐れもあります。場合によっては派遣社員やフリーランスなどの外部人材の手を借りることも検討しなければならなくなります。

会社の体質を改善する試みは、経営者によほどの覚悟がないと途中で挫折してしまいます。また社内・社外からどれだけ賛同者を得られるかも成否のカギを握っています。



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