転職に失敗したと思う前に


人手不足を背景に転職する人が増えています。総務省の労働力調査によると、転職する人は8年連続で増え続け、2018年は329万人になりました。最近は中高年の転職も増えており、転職者全体に占める45歳以上の中高年の割合は38%となり、10年前に比べ11ポイント増加しています。

転職者数の推移を示すグラフ


転職者に有利な売手市場になったとはいえ、いざ転職してみると、予想ははずれ、転職に失敗したと思う人もたくさんいます。

採用前に労働条件や待遇面は確認できますが、実際に仕事をしてみないとわからないことも多々あります。特に以下のような社風や組織風土に関わるものは、入社前に確認するのは困難です。

  1. 仕事に対する革新性の要求度

  2. 承認を得るための段取り

  3. 意思決定のスピード

  4. 結果に求められる精度

  5. 成果へのこだわり

  6. チームワークに対する考え方


以前の会社との違いの大きさに戸惑い、ついていけそうもなく、転職は失敗だったと落ち込んでしまう方もいます。ただし、転職に失敗したと判断する前に、一度、自らの仕事の進め方を振り返ってみると、別の展開が広がるかもしれません。


転職した会社での打ち合わせのイメージ写真


日本の会社は他の国に比べると、一人一人の職務範囲が曖昧です。会社は状況に応じて臨機応変に人に仕事を割り当てるという人事管理をしています。そのため多忙な同僚の仕事を手伝わされたり、他部署の応援に回されるといったことは当たり前です。当たり前すぎて、誰もそれが不自然だとは思いません。

一方、諸外国は採用時にどんな仕事をするかが契約によってはっきり定められています。決められた以外の仕事を命じられることはなく、自分の仕事が終われば、他部署の同僚が忙しくても、手伝わずに帰るのが当たり前です。

つまり、日本の会社では自分の裁量で仕事の範囲や進め方を変えられるのです。今の自分の仕事を、自分のやりたい方法で、あるいは自分の持ち味が活かせるように、仕事のやり方だけでなく、幅や奥行きを変えていくことが暗黙の内に容認されていると言えます。

こうした仕事を変えていく行動は 主体的ジョブデザイン行動 とか、職務拡大 や 職務充実 と呼ばれています。職務拡大は、自分の今の仕事に隣接するプロセスを取り込んで、水平方向に職務を拡大するやり方です。職務充実は現在の仕事を垂直方向に深堀りして充実させ、一段高いレベルにするやり方です。

日本の会社は自分で仕事のあり方や進め方を変更するという 職務設計 をする余地が大きいと言えます。仮にマニュアルに従うことが求められても、マニュアルは未来永劫変わらないものではなく、常に見直しを必要とします。あなたが主体的ジョブデザイン行動を発揮して、今よりももっと効率の良い手法で、なおかつ自分の気に入る方法を提案すれば、それが採用されるかもしれません。


転職に失敗したと判断してしまう人の中には、仕事は上から降りてくるもので、自分はその降りてきた仕事をこなすものだ、ということを暗黙の前提にしている人がいます。また会社も上司も変えられないし、自分の仕事も変られないという無意識の思い込みに囚われている人もいます。

そのため、与えられる仕事が変わるか、転職した会社の体質が変わるか、直属の上司が異動するまで、じっと耐え忍ぶか、あきらめて別の会社に転職するかの選択しか残されていないと映ってしまいます。

しかし、自分の仕事に向かう意識や考え方、態度、姿勢を変えることで、一見、失敗したと思える転職を成功に転じることができます。

もちろん、転職後すぐにジョブデザインを変えようとしたり、職務拡大や職務充実を図ろうとしても、まずは仕事を一通りできるようになることが要求されます。その後、実績を積み、少しずつ自分の仕事の内容や領域を広げていくようにします。自分が仕事の中身や進め方を変えれば、その前後で影響を受ける人も出てくるので、そうした人たちへ配慮ができる力も要求されます。


経営の神様と言われた松下幸之助さんは、部下にこう言ったと伝えられています。『ワシの言う通りやるんやったらきみは要らんで』。会社や上司の言われた通り仕事をするだけなら、他の人でも構わないし、これからの時代ならAI (人工知能) や PRA (Robotic Process Automation) といったソフトウェアのロボットでもできます。あなたが今の会社や所属部署にいる値打ちは何かを見つけることが転職を成功に導くカギなのかもしれません。




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