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zoom RSS 『魚と日本人』 食と職の経済学  濱田武士・著

<<   作成日時 : 2017/04/23 18:51   >>

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築地市場の移転問題が長引いている。そんな中、豊洲市場への移転が遅れることで、廃業する業者が増えることが懸念されるという報道がある。築地市場は水産物の取扱いで日本最大の中央卸売市場だが、そこで廃業が相次ぐのはなぜなのだろう



実は現在、日本では魚の消費が大きく減っている。人口が減るから消費が減るもの当たり前ではないかと思われがちだが、国民一人当たりの年間供給量を見ても、2000年あたりから魚介藻類は減少を続けている。かつては高齢化により、魚の消費は増えるのでないかという加齢効果説があったが、これは否定された格好だ。



魚の消費が減り続けている原因の一つは、食の外部化にある。これは日々の食事が外食や弁当類のような中食、調理済み食品に依存していく現象のことだ。今や食べるという行為は効率的な生活を送るための機械的な行為になり、調理に時間や手間がかかり、調理技術を要する魚が忌避されている。その結果、魚に携わる人々の職や活躍の場が失われ、魚食文化が危機的な状況に陥っている。



本書は魚を食べる人、売る人、卸す人、加工する人、獲る人の役割と、彼らを取り巻く経済環境を見ながら、魚食や魚職の復権のために何が必要かを提言する。


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魚と日本人  食と職の経済学



今、全国至る所で商店街がシャッター通りと化し、町の魚屋さんはめっきり数が減ってしまった。私たちが魚を買うのはスーパーのような大型量販店が中心になり、魚売り場では、魚一匹が丸魚として売られることが減り、多くの魚は刺身、切り身、焼き魚、煮魚といったように加工されている。魚売り場なのに魚の姿を見かけない。



さらにスーパーでは販売効率を上げるため、対面販売を極力減らしている。対面販売がなくなった結果、見慣れない魚は売れなくなり、店頭に並ぶのは誰でも知っている魚ばかりになっている。



食の外部化による魚の消費の衰退と、鮮魚販売のあり方が中央と地方の卸売市場、漁業関係者に大きな打撃となっている。本書で描かれるのは衰退、崩壊、弱体化といった惨状の数々だ。消費地の卸売市場では、魚食の危機、量販店の台頭、業界内の競争激化により、衰退が進んでいる。



そして出荷物の全量取扱いと全量上場、委託販売、セリ・入札、第三者販売と直荷(じかに)引きの禁止といった原則の崩壊が相次いでいる。代わって市場外取引が活発化し、卸売市場機能である商流、物流、情報流を代替する企業、商社が勢力を拡大している。



産地の卸売市場では、取扱高が減少を続けている影響により、集荷、加工、物流の各機の弱体化が進んでいる。全国に825カ所ある市場は再編、統廃合が模索されるものの、地元経済への影響が大き過ぎることを理由に進んでいない。水産加工業はグローバルな調達による輸入品が増加することにより、産地との結びつきが希薄化している。漁業従事者は減り続けており、著者はその原因として収入もさることながら、収穫したものがセリによって高値がつくというやりがいが失われ、買い叩きが横行していることが大きい点を指摘する。



著者は水産業の痛手は魚が売れない以上に、魚職にとっての「誇り」が失われたことではないかと指摘する。店先で魚屋の大将が客に魚の種類や、美味さ、料理方法を教える機会はなくなり、卸売市場の目利きのプロであるセリ人は活躍の場を失い、命がけで魚を獲っている人への敬意も払われなくなった。



では漁食や漁職の復権・復活のためには何が必要なのか。著者は衰退の原因である魚の消費と鮮魚販売のあり方を改善する必要性とそのための対策を示している。それは卸売市場の荷受、仲卸による漁食を育てるためのリテール・サポートにより、消費者に魚を味わう、作る、知る、覚える、習得する、分かち合うといった魚食がもたらす「喜び」に気づかせることだ。



魚の新鮮さだけでなく、漁の活気も店先にもたらすことができるかどうかがカギになりそうだ。




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魚と日本人??食と職の経済学 (岩波新書)
岩波書店
濱田 武士

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