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zoom RSS 『なぜ日本のフランスパンは世界一になったのか』  阿古真理・著

<<   作成日時 : 2017/03/25 11:18   >>

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私たちの主食であるコメの消費が年々、減少している。しかし、食べる量は減っても主食であることには変わりはないようで、数週間でも海外にいると、ご飯が恋しくなる。人間の舌の嗜好は簡単には変わらないようだ。



このため日本に住む西洋人には主食であるパンが欠かせない。だが彼らは日本のパン屋に並ぶ菓子パンや惣菜パンを見て、「これはパンじゃない」 と口を揃える。その一方で、フランスパンについては、とても美味しいと言って買ってゆく。



根っからのパン好きな著者は、ここで大きな疑問に突き当たる。パンを主食とする人々がパンじゃないとするパンと、パンの本場に引けを取らないフランスパンがなぜ同じパン屋で焼かれているのか。



その疑問を解消するため、日本人がパンをどのように受け入れ現在に至ったのかという取材に取り掛かる。こうして日本人とパンを巡る食文化史、生活史を描いて出来上がったのが本書だ。




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なぜ日本のフランスパンは世界一になったのか
パンと日本人の150年




本書では、まず日本にパンが持ち込まれ、定着するまでに大きな役割を果たした店と職人が登場する。



敷島パンの創業者、盛田善平と彼が雇用したドイツ人の職人、ハインリッヒ・フロインドリーブ、ベーカリーチェーンや客が自分で好きなパンを選ぶセフルサービスを始めたアンデルセン・グループの創業者、高木俊介・彬子夫妻、神戸屋の創業者・桐山正太郎、日本で最初に本格的なフランスパンを焼き始めた 「関口フランスパン」 の経営を引き継いだ高木啓三、日本にフランスパンを根付かせたレイモン・カルヴェル、彼からパン作りを学んだ 「ドンク」 の創業者・藤井幸男と、彼が雇用した職人のフィリップ・ビゴなど、パンに魅せられた多くの日本人と、彼らにパン作りを教えた外国人の職人たちの物語が綴られる。



そして日本独自のパンとも言える菓子パン、惣菜パンの歴史にも焦点が当てられる。アンパン、ジャムパン、クリームパン、メロンパン、カレーパン、焼きそばパンといった主だった菓子パン、惣菜パンの歴史や考案者、こうしたパンが登場する時代背景が紹介される。



この過程で、著者はなぜ日本のパンは皮が柔らかいのかという謎にも迫る。そこから見えてきたのは、日本の主食がコメという見方に対する疑問符だ。歴史を振り返れば、庶民にとって主食はうどんやソバ、イモ、雑穀類などで、コメは年貢用に作られるもので、年に数回、ハレの場で食される特別な食べ物だった。



では、なぜ西洋ではパンが主役の地位を占めるようになったのか。本書は西洋におけるパンの歴史も取り上げる。そこからパンが主食になる背後には、キリスト教の存在があることが浮かび上がる。



次に著者は現在の日本のパン事情に視点を移す。日本で暮らす西洋人たち8人に、彼らの母国でのパンの種類や特徴、パンをいつ、どのようにして食べるのか、日本のパンについてどう思うかを取材して、その内容を詳しく紹介している。さらに2008年のリーマンショック後に到来した空前のパンブームの背景にある事情にも迫る。なぜなら、そこに日本のパン文化の行方を占う手がかりがあるからだ。



年々減り続けるコメの消費に対し、私たちがパンを口にする機会は確実に増えつつある。このままパンの消費が増え続ければ、食の洋風化と相まって、近い将来、私たちの主食はコメからパンに変わってしまうのだろうか。



著者は本書の最後で、パンはコメに取って替わる存在ではなく、主食の一つに仲間入りしたというべきではないかと指摘する。そしてコメやパンといったかつての主役たちは、おかずという新しい主食にその地位を脅かされているという。豊かになった食生活は、もはやコメやパンを主食としていた時代を過去のものにしようとしているのかもしれない。




「なぜ日本のフランスパンは世界一になったのか」  パンと日本人の150年
阿古真理・著 NHK出版新書・刊 税別780円







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