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zoom RSS 『フランス人とパンと朝ごはん』  酒巻洋子・著

<<   作成日時 : 2016/04/30 07:07   >>

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最近は日本を訪れる観光客が増加していることが報道されるが、上位の国との開きはまだかなりある。世界で最も観光客を集めるのはフランスだ。だがフランスが気に入って何度訪れても、名所旧跡を周って、ホテルに泊まっているだけではフランス人の実生活はわからない。



そこでフランス人の生活ぶりを朝食というテーマに絞って紹介する本書はいかがだろう。著者はフランス北部のノルマンディー地方でフランス人のパートナーと暮らし、仕事でパリへ通う生活を送っている。本書はフランス人の朝食を通じてパンの食文化を取り上げながら、同時にフランス人の気質、個人主義、合理主義、働くことに対する価値観などにも触れている。著者の撮影した写真も数多く掲載されていて、ビジュアル感のある仕上がりになっている。



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フランス人とパンと朝ごはん




フランス人の朝食は 「タルティーヌとカフェオレ」 と決まっている。タルティーヌとは、 「バケット」 と呼ばれる縦長のフランスパンに、バターやジャムを塗ったものだが、個人主義が根付いている国ゆえ、全員がバケットを食するとは限らない。大きな丸い形をした 「ブール」 や、楕円形の 「パン・ドゥ・カンパーニュ」、ライ麦入りの 「パン・ドゥ・セーグル」、クルミ入りの 「パン・オー・ノワ」 といったバケットの以外のパンもタルティーヌになる。



そしてフランスのパンと言えば、誰でも思い浮かべるのが 「クロワッサン」 だ。しかし、フランス人の間でクロワッサンはあまりにも定番過ぎて、イマイチ冴えない存在だ。そして本書ではクロワッサンが敬遠される別の理由も取り上げられているし、クロワッサンだけで朝食を済ませるフランス人の小食ぶりの謎も解き明かされる。クロワッサンのような菓子パンは 「ヴィエノワズリー」 と呼ばれていて、フランス人に人気のヴィエノワズリーはクロワッサンにチョコレートが入った 「パン・オ・ショコラ」、リンゴをパイ生地で包んだ 「ショソン・オー・ポム」、レーズン入りの 「パン・オー・レザン」 といったところ。



パンはご飯と違って自宅で調理できないから、パン屋さんで買うことになる。著者によればフランスで暮らしていて最も冷たいあしらいを受けるのがパン屋さんだという。愛想の悪いパン屋さんでも著者の住む町にはパン屋は1軒しかないから、嫌でも買わざるを得ない。愛想の悪いパン屋さんはフランス人の労働に対する意識の表れとも言えそうだ。



本書ではフランス人の朝食でのパンの食べ方が紹介されているが、これが結構、驚きだ。バゲットの切り方に始まって、食器やナイフ、スプーンの使い方、残ったバケットの使い道、テーブルの後片付け、キッチンとダイニングテーブルの使い分けなど、フランス人の朝食の様子が詳しく紹介されている。日本人にはちょっと抵抗のあるスタイルもあるが、これもフランス人の合理主義のなせる業なのだろう。



タルティーヌに塗るのはバター、ジャム類のコンフィチュール、果物の果汁だけで作られるジュレ、チョコレートやキャラメル、ナッツなどをベースにしたペースト、はちみつとたくさんの種類がある。そして、それぞれにバリエーションがある。バターは有塩と無塩バターがあり、有塩バターは塩分量の違いによって種類が分かれる。コンフィチュールに用いられる果物も種類がたくさんあり、著者のパートナーのフランス人ように自家製のコンフィチュールを作る人も多い。著者の自宅ではリンゴ、洋ナシ、サクランボ、プルーン、コワン、カシス、グロゼイユなどからコンフィチュールが手作りされている。



朝食に出される飲み物はカフェオレだが、これも皆がカフェオレという訳ではない。紅茶派の人もいれば、ココアの 「ショコラ・ショー」 という人もいる。フランスのカフェオレはエスプレッソにミルクを入れて作られるが、エスプレッソとミルクの割合も人それぞれに好みがある。しかし外食のカフェではほとんどの場合、あらかじめミルクが入った状態で出されてくる。



フランスのカフェの朝食メニューはタルティーヌに温かい飲み物がついた 「コンチネンタル」 と呼ばれるシンプルなメニューが中心で、イギリスやアメリカのようにボリュームたっぷりの朝ごはんは少数派だ。これもフランス人の働くことに対する価値観が出ている。グルーバルな競争が激しくなる中、今後もフランスがヨーロッパで発言力や影響力を維持できるかどうかは、フランス人がイギリス風やアメリカ風のボリュームのある朝食を摂るかどうかで判断できそうだ。




「フランス人とパンと朝ごはん」 酒巻洋子・著
産業編集センター刊 税別1500円






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